2019年8月24日、東京都杉並区にある阿佐ヶ谷ロフトAにて、お昼から寺田克也さんのライブドローイングイベントが開催!
ロフトといえば、先日も画集『寺田克也原寸』発売を記念したトークイベント「原寸 寺田克也x祖父江慎」が新宿ロフトプラスワンで開催されたところですが、今回は阿佐ヶ谷にてiPadでのドローイングを披露されました。
目次
「寺田克也のライブラクガキ2」概要
【出演】寺田克也
【ゲスト】カネコアツシ、姫乃たま ほか
OPEN 11:30 / START 12:30
前売¥2,500/当日¥3,000(ともに税込・飲食代別・要1オーダー500円以上)
会場:阿佐ヶ谷ロフトA
今を遡ること20年ほどかな、新宿歌舞伎町の地下奥深くにあるロフトプラスワンでデスクトップのMacとモニターとタブレット持ち込んでライブラクガキやったんすよ。飲みながら描くところをただ見るだけ、というヤツ。で、今回2回目は阿佐ヶ谷で昼席。つまり昼から飲みながらただ寺田がラクガキするとこを見守るという集まりです。相棒をつとめてくれるのは、もう終わったけどコミックビームのネットコンテンツでグッドジョブMCをした姫乃たまさんです。描いてる横でじわじわ酔ってくれます。間が持たない時は乾杯してくれるたのもしさです。途中仕事場に遊びに来る体でカネコアツシが来てくれる予定。いいマンガを描く秘訣とか、そんな話をして、くれるかどうかは知らないがいっしょに乾杯してくれます。
オレはひたすらiPad Proで絵を描く予定ですよ。よろしくお願いしたい。
ずばり、寺田克也さんのiPadでのライブドローイングを観るためのイベント。
ライブドローイングは近年至るところで開催されていましたが、展覧会や出版物に関連したイベントではなく、ライブドローイングを主目的としたライブドローイング(変な言い回しですかね?)は、実は結構レアなんじゃないかな、という感じがします。
(余談)ニコニコチャンネル「読もう!コミックビーム」
今回はカネコアツシさん、姫乃たまさんがゲスト。
これは余談ですが、前述のイベント紹介文にもありますが、コミックビームが一時期開いていたニコニコ動画の有料チャンネル「読もう!コミックビーム」にて2017年4月22日に放送された生放送「第7回ビームマンガ実況」で共演されたメンバーなんですね。
私も当時、会員登録して放送を見ていた思い出があります。(内容は記憶の彼方に飛んでいきました…)
前半分が無料放送、後半分が有料放送だったようでして、無料放送分がYoutubeに掲載されていました。このチャンネル自体は既に閉鎖されているようでして、有料分のコンテンツはもうどこにも公開されていないかもしれません。どなたかご存知でしたら教えてください。
因みに、この時は寺田克也さんが奥村勝彦編集長の似顔絵を描いておられました。
カネコアツシさんと寺田克也さん
これも余談ですが。
2018年11月24日に、銀座のヴァニラ画廊にて、カネコアツシ原画展「SEARCHANDDESTROY」記念特別アーティストトークで、カネコアツシさんと寺田克也さんが共演されています。
展覧会レポートが公開されているので、これも読んでおくとお二人の関係性や絵の考え方などがより理解できるんじゃないでしょうか。
イベントレポート
前置きが長くなってしまいましたが、ここから当日の様子を書いていこうと思います。
まずは聖地・阿佐ヶ谷到着。駅前で五体投地して、阿佐ヶ谷ロフトAへ向かいます。会場は商店街の中にあり、ぼーっとしてると見過ごしそうな佇まいなのですが、11:30の開場時刻ちょうどに着きました。既に行列ができていましたが、チケットの購入順に整理番号が振られており、整理番号順に入場となっていました。
会場に入ると、舞台には寺田克也さんと林家彦いち師匠が既に座って談笑されていました。ゲストが「カネコアツシ、姫乃たま ほか」になってた「ほか」って、彦いち師匠だったんですね。
何のアナウンスもなく、絵をもりもり描いておられた寺田克也さん。これ以外にも色々描いておられましたが、この猫の絵は最近よくInstagramなどにアップしてる一つ目猫ちゃんシリーズですね。(Gary the Catって名前がついてるみたいですが詳細不明 )なに、もう始まってんの?というふわっとした空気感のまま12:00を迎え、MCの姫乃たまさんが入場、イベントが開始となりました。
ライブラクガキ1
25年前にも新宿ロフトプラスワンにてライブドローイングを行ったそうな。当時100万円したマックとモニター、ペンタブレットを会場に持ち込み絵を描き始めたところ、マックが落ちまくり20回は再起動を繰り返したそうです。なるほど、大惨事ということですね。
その時は小説家の夢枕獏さん、映画監督の佐藤嗣麻子さんも舞台に出ておられたようです。
林家彦いち師匠
トークはひこいち師匠と寺田さんの出会いから、夢枕獏さんも一緒にヒマラヤやベネズエラ、シルクロードに旅に出た話など。事前情報なしで出演された彦いち師匠ですが、以前から寺田さんとは親交があるようで、彦いち師匠の落語のCDジャケットを寺田さんが描いたりしてます。
彦いちばなし~林家彦いち落語集・創作編~
芸歴30年林家彦いち独演会「彦いち式」
ラジオの収録があるそうで、カネコアツシさんと入れ替わる形で退場となった彦いち師匠。10月7日に下北沢の本多劇場で独演会をやるそうで、このポスターも寺田克也さんが手掛けてます。
カネコアツシさんと絵の話
満を持して登壇されたカネコアツシさん(中央)。MCの姫乃たまさん(右。写り悪くてすみません…)が一般人目線での質問や感想を述べられて会場を笑わせる一方、カネコアツシさんがプロの漫画家としての目線で、絵の話やiPad ProとProcreate(描画アプリ)の話を深堀しながら着々とドローイングが進んでいきました。
話が脱線してもカネコさんが秒で絵の話に戻していくので、気付きの多いトークが展開された印象です。
カネコさんは元々アナログで原稿を描いていたのですが、寺田さんがFacebookでiPad Proを紹介しているのを見て、デジタル作画に切り替えたそうな。昔から今も、デジタルイラストレーションの先駆者的存在だということが改めて分かります。
カネコさんは『デスコ』連載中にメディバン(MediBang Paint)という作画アプリに移行したそうですが、寺田さんも姫乃さんも「連載を読んでいてどこからデジタルになったのか分からない」と仰るほど、違和感なく移行したようです。iPadとApple Pencilすげー。
質疑応答と抽選プレゼント
イベント中盤からは、来場者からの質問に寺田さんカネコさんが答える質疑応答コーナーへ。以下、ディテールはちょっと拾えていませんが、気になったポイントだけちらっとご紹介。
ライバルはいますか?
寺田さん「絵の上手い人には常にジェラシーがあるが、『ライバル』という人はいない」
カネコさん「自分と同じものを持っている人を『ライバル』と呼ぶのだと思うが、人と違うことをしようと考えているので、ライバルという感じ方はしていない。漫画も基本、読まない」
また、寺田さん曰く、土田世紀さんがまだ10代で上梓したデビュー作『未成年』を読んだ時は、その才能に嫉妬するあまり一日へこんだそうです。カネコさんの漫画を読んだ時も衝撃を受けたそうです。
作画環境について
寺田さんは「本当の6B鉛筆」(標準の6B pencilではなく、ネットで外国人が配布していたブラシを使用しているそうな。具体的にどのブラシか、ちょっと特定できなかったです)、「ニッコラル」「にじみペン」などを使っているそうです。(モーニング・ツーの多田由美さんとの対談インタビューにもちらっとこの話が出ていました)
基本的にはあまりソフトに依存しないよう、ありものを使うスタイルだそうです。iPadにはフィルムは貼らないそうで、画面の硬さによる衝撃はグリップで吸収しているとのこと。
アナログで仕事することもあれば、PCとペンタブレットで仕事をすることも全然あるそうですが、今はiPadを使うことが多いようです。
好きな動物は?
寺田さん「オカメインコ」。昔、飼っていたそうな。
今楽しみな漫画(漫画家)は?
寺田さん「ゴールデンゴールド」
カネコさん「森泉岳人さん」(会場にも来ていたそうです)
抽選プレゼント
イベント終盤には、じゃんけんによる抽選プレゼント会もありました。カネコさんからはクリアファイル、リストバンド、Tシャツ。寺田さんからはTシャツ、サコッシュ、カリガリのCDアルバムがプレゼントされました。
ドローイング終了
絵はどこで完成するのか?という質問に、最低限の完成ラインがあって、自分で終わりを決めると答えた寺田さん。仕事の絵は、合格ラインを越えた時点で納品するそうですが、描きたい絵はもっと描き込むこともあるそうです。約4時間のドローイングお疲れ様でした。
↓その後、Instagramに挙げられたタイムラプス動画
物販
今回は会場にて、フューチャーモデルズ フランケンガールズTシャツの新作が販売されていました。S,M,L,XLのサイズ展開で税込3,700円。可愛くてパンクな感じで、良きです。
藤原辰弘さん原型「メカエンジェル」
トークの途中、寺田さんの絵を元に作られたフューチャーモデルズ「メカエンジェル」のお披露目もありました。(このブログでも前にちらっと取り上げました)
2020年夏ごろ発売で、今年の年末~年始にかけて予約を受け付けることになりそうです。いよいよ!
寺田克也のライブラクガキ3
以上、イベントレポートでした。初回の「ライブラクガキ」から25年が経ったそうですが、なんと第三回も予定しているそうです。次回は2020年2月頃とのこと。見逃せませんね。