「寺田器」ファーストシーズン第1回展示販売会、行ってきました!最高でした!
今回の展覧会では、寺田克也さんの絵が食器になっています。
10/14 [土]~10/29 [日] 13:00~21:00 [水曜定休]
入場無料
SF gallery. 東京都中野区中野6-21-1 SF DEPT.B1
>「寺田器」商品レビュー記事はこちら。(ファーストシーズン商品のみ)
「寺田器・展示即売ショー! -2017-秋」レビュー
会場は中野にあるSF gallery.というギャラリーです。
余談ですが、ぼーっと歩いていたら気付かずに通り過ぎてしまいました。笑
今回は寺田克也さんと20代の頃からのご友人だというメチクロさんとの繋がりから、長崎県を産地とする磁器「波佐見焼」の制作元のご協力を得たそうで、寺田克也さんが描いた絵をお皿、お茶碗、湯呑に定着させています。
こんな食器でご飯が食べたい!
鏡面に壁画が反射してカッコイイ!
なお本展では、展示だけでなく磁器の販売もしています。絵を楽しむだけでなく、日常の中で使えるというのがいつもと一味違うところですね。因みに一商品あたり100点、用意されているそうです。
普段使いの磁器:波佐見焼について
長崎県を産地とする磁器「波佐見焼(はさみやき)」は、古くはお隣佐賀県の有田焼と同じものとして扱われていたそうです。
産地表示の厳格化が求められたことから、慶長以来、波佐見焼として独立し、日用品として広く普及したもの。陶芸といえば、職人が失敗した作品を窯から出して投げ割るようなイメージがつきものですが、波佐見焼は作業工程を分業することで普及率を高めた磁器です。勿論、職人の熟練技能が必要とされる場面もありますが。
高級な伝統工芸品としてではなく、丈夫で日常的に使われる磁器というのが、今回の展覧会のミソなんですね。
絵を部屋に飾る人は決して多くはないと思うんですよね。私はこういう趣味なので、寺田克也さんの絵を壁に飾ってニヤニヤしているのですが…大多数の人ってそうじゃない。前提知識が必要だったり、楽しみ方が分からなかったりと、どうしても多少のハードルは残ってしまう。
でも食器は、みんなが毎日使ってますよね。作ったものが、受け取った人の手元で日常的に使われていき、ヒビが入ったり、欠けたり、割れてしまったり。そんな風に消費され、暮らしの中に溶け込んでいくのも、ものづくりの良いところ。そして、紙やデータに比べ磁器に描かれた絵は圧倒的に酸化などに強く、いつまでも文化財として残ります。この展覧会のコンセプトは、どうやらそういう部分にあるようです。(これについては、トークショーで寺田さん・メチクロさんのお二人がお話されていました)
壁面を埋めるドローイング
「寺田さんの絵が食器になる!?ありえん買おう、タマラン」と速攻で向かった本展ですが、会場の壁には、長さ約10mに渡って、寺田さんの線画が描かれていました。寺田さんお馴染みの紙用マッキーを使い、均質的な線による、メビウス的な作風のやつですね。
磁器のことしか頭になかったので、会場に着いて目の当たりにしたドローイングは、嬉しい誤算でした。
しれっと描いてますけど、私がこれまで観てきた寺田さんの大画面ドローイングの中でも、屈指の仕上がりだったのではないかなと…。少なくとも、個人的にはいつもより更にイケてました。完全にヤバい。(語彙力)
そんなに最高のドローイングなのですが、なんと展示が終われば消してしまうそうです。そういう刹那的なクリエイティブであることが、寺田さんの得意とする「ラクガキ」らしさを引き立てているのでしょうか。肩の力を抜いているというか、そういう作品作りへのスタンスの重要性についてはトークショーでもお話されていました。いや~深いですね。
壁面のドローイングは是非とも現地で観てほしいので、この記事では深くは紹介しませんが、近々出る予定の画集の表紙になるそうですよ。
トークショー
(2018年10月7日追記)今回は、初回の展示に際して開かれたトークショーの内容を、記憶を辿りながら少しだけご紹介します。
会期中の2018年1月14日、「寺田器」を長崎で製作している西海陶器の社長さん、寺田克也さん、SF inc.のメチクロさんによるトークショーが行われました。当日、会場には寺田克也さん・メチクロさんが現地の工房を見学した際の動画が流れていました。
後継者問題
波佐見焼は日本の伝統産業の中でも最も活気があるそうですが、それでも後継者がいないことがやはり問題になっているそうで。日本全国、どの産業も同じ課題に悩まされているようですね。好景気な頃は薄利多売のビジネスモデルで問題がなかったようですが、現在は生産量が落ち、同じモデルでは経営が成り立たなくなっているそうな。適正価格でなくなってきており、悪いスパイラルが生まれつつあると。
今回のイベントがあるまで私も波佐見焼の存在を知らないくらいでしたし、こういうコラボなどの機会に、多くの人にまずは知ってもらうことからスタートしなければいけないのかもしれませんね。
技術伝承の課題
波佐見焼の中で、一番売れているのはマグカップだそうな。湯呑は売れないらしいです。(寺田器は湯呑が一番の売れ筋商品でしたが、)つまり、高い技術を使う商品を作る機会が減っているということ。安価な商品でなく、高価な商品が売れなければ技術が失われていくということで、これもまた後継者問題に繋がる重要な課題であるようです。
海外からも生産のオファーは来ているようですが、安価に大量生産するだけでなく、高度な技術を用いた商品づくりもまた必要なんですね。
といった感じで、トークは真面目なお話を中心に、波佐見地域のローカルネタや職人さんのエピソードなどを交えながら楽しく進行されました。
まもなく10月11日より「寺田器」セカンドシーズン、通算3回目の展示販売会が行われる予定です。興味のある方はぜひ現地に行ってみては。(公式サイト)