生賴範義展 THE ILLUSTRATOR(ナイトギャラリートーク)【寺田克也×オーライタロー】

生賴範義展看板

遂に東京に生賴範義展が上陸しましたよ!

この記事では、展覧会レビューと、寺田克也さんがゲストで出演されたナイトギャラリートークについて紹介します。今回の記事は長めですが、どうぞお付き合いください。

生賴範義展 THE ILLUSTRATOR

2018年1月6日~2月4日

会場:上野の森美術館

スター・ウォーズやゴジラのポスターで知られる、世界的イラストレータ-
生賴範義(おおらいのりよし)(1935−2015)の全貌を多数のイラスト作品や油彩画により紹介します。

主催:特定非営利活動法人宮崎文化本舗、一般社団法人生賴範義記念みやざき文化推進協会、上野の森美術館
後援:フジテレビジョン、東映
特別協力:鹿児島県立川内高等学校可愛山同窓会

 

 

展覧会レビュー

生賴範義さんについて

生賴さんは、日本が世界に誇る偉大なイラストレーターです。2015年に79歳で亡くなられています。

山ほど絵を描いたそうですが、私が分かる範囲だけでも、ゴジラやスターウォーズのポスター、コーエーの歴史ゲームのパッケージなど、誰もが一度は見たことのあるものを描いているんですね。

因みに私、中学生の時にゴジラ好きな友達と一緒にファイナルウォーズを劇場まで観に行った記憶があるので、このポスターも観ていたんでしょうねえ。コーエーの三国志なんかは私も中学時代にハマっていたんですが、私がプレイしていたソフトのパッケージイラストは長野剛さんでした。

特にスターウォーズ帝国の逆襲のポスターは有名で、奥にあるものほど大きく描く特徴的な構図が、それ以降の映画のポスターの流行となったそうな。星空(宇宙空間)を緑色で描く独特の色彩は「オーライグリーン」と呼ばれたとのこと。

「絵を描くことは肉体労働に他ならぬ」との言葉を残し、謙虚に、真摯に、仕事に向き合っており、アトリエにこもって絵を描き続けた、職人気質の人だったそうです。

東京芸大に現役合格して、3年の時に「もうここで学ぶことはない」と中退しているそうですから、それはもう絵描きとしてとんでもない次元の人ですよ。

『生賴範義 緑色の宇宙』

生賴範義 緑色の宇宙

2014年に玄光社からムック本『イラストレーション別冊 生賴範義 緑色の宇宙』が出てまして、こちらで寺田克也さんと金子ナンペイさんが対談されてます。展覧会図録も内容盛りだくさんですが、このムックもなかなか良いですよ。

 

展覧会概要

生賴さんの作品展は、2014年からみやざきアートセンターで一年おきに開催されていました。(生賴さんの住まいが宮崎県)

膨大な生賴さんの作品を収集・整理して展覧会まで漕ぎ着けるには大変な努力があったようです。展覧会を開催するために心血を注いだ男がいた、そんな話があるブログにまとめられていたので、以下にリンクを貼っておきます。

奇跡の軌跡「生賴範義 展 THE ILLUSTRATOR」in 上野の森美術館〈その1〉

オーライタワー

オーライタワー

こちらは、生賴さんが手掛けた作品の数が余りにも多いため、それらを一堂に展示するための苦肉の策として生まれた、その名も「オーライタワー」。誰が名付けたかは分かりませんが。50年も絵を描き続けたらこうなるんですね。

私は絵をほとんど描きませんが、一人の人間として、その偉業には敬意というか、畏怖の念が起こります…。

因みにこの写真、偶然なんですが、生賴範義さんのご子息であるオーライタローさんが写り込んでいました…(撮った時は気付かなかった)。普段なら写真に写り込んだ人の顔は隠すんですが、特例的に残しておきます。なんだかスミマセン。

音声ガイド

音声ガイドを務めるのは、アニメ映画「この世界の片隅に」で主人公・すずの声を名演された、のんさん。生賴さんのことはこの仕事で知ったそうですが、のんさんの声でガイドを聞くのも今回の楽しみの1つでした。かわいい。

展覧会に向けた、のんさんのメッセージがyoutubeに上がってました。

ベガ立体像

ベガ

平井和正「幻魔大戦」で生賴さんが描いたベガを、今回の展示に合わせて寺田克也さんデザイン・竹谷隆之さん造形にて立体化!!

写真だと伝わりにくいですが、かなり大きいです。色々な模型のパーツや機械部品を素材にして作り上げたそうです。生賴さんが描いた元絵だと背中の図が無いので、そこは寺田さん竹谷さんのクリエイティビティを特に発揮されたところかと思います。

これを機にベガのフィギュアの販売も予定されていまして、予約特典でメイキングフォトブックも付いてくるようです。お値段は優しくありません。誰か私に恵んでください。

ベガ告知1

ベガ告知2

会場限定先行予約価格( )内は通常価格
塗装無し 30,000円/税込32,400円(通常価格35,000円/税込37,800円)
塗装済み 45,000円/税込48,600円(通常価格50,000円/税込54,000円)

●商品名:ベガ ポリストーン・フィギア
スケール 約1/7サイズ(体高:300㎜+武器長)
●原型制作:竹谷隆之
●デザイン協力:寺田克也
●展示品デジタル縮小完成フィギュア
●生産委託:株式会社GSIクレオス ホビー部
●3Dスキャニング
●シリコン型制作・量産成型

図録

生賴範義展図録

宮崎県で過去に開かれた展覧会とは展示ラインナップが異なるため、今回の展覧会のために新たに作られた図録です。平綴じで製本されているので、ノドのところまで開けて絵が見やすい作りになっています。

横長の大作も見やすいよう、なんとカバー裏にでかでかと印刷するという心意気まで。これは編集者の相当なこだわりを感じられます。展覧会を観に行くなら、マストバイですよ。

 

ナイトギャラリートーク

生賴範義展ギャラリートーク1

日時:平成30年1月13日(土)17:00〜

ゲスト:寺田 克也 氏(イラストレーター)

展覧会終了後、生賴氏のご子息・画家であるオーライタロー氏とスペシャルゲストによる展示作品の解説を行います。

 

17時閉館後の夜の美術館で、オーライタローさん、寺田克也さんが生賴範義展の見どころを解説してくれるという激熱イベント。

限定50名の本イベント、予約は割と早くに埋まったようですね。参加者は年配の方が多いように感じました。ファン層の厚みというか、生賴さんの歴史の重さを感じますね。

 

トークの抜粋

トークは非常に興味深い話ばかりでしたが、寺田さんの作風に関連しそうなところで、印象的だった点だけ抜粋しておきます。

寺田さんの絵において、生賴さんの作風に寄る時と離れる時をこれまでずっと繰り返しているそうです。生賴さんの絵のほか、辰巳四郎さんのタッチを高校時代に真似して描いていたそうで。

生賴さんの作品の中で1番好きな絵というのは無いが、マッドマックスやhope(タバコ)のポスターが印象深いとのこと。(因みにhopeのポスターを描いた頃の生賴さんは、ちょうど現在の寺田さんと同世代だそうです)

マッドマックスのような、画面の下に黒の線(地平線のような)を引く構図は未だに真似しているとのこと。(確かに、そういればそんな絵を描いておられるような気がします)

生賴さんがモノトーンの絵の中でも色を描き分けているところや、洋服の質感(マッドマックスの革ジャンなど)が好きだそうです。

生賴さんの絵は絵具が薄く乗っているのですが、それはつまり、筆を置く時点で色が決まっているということ。それはもう、凄まじい技術なんですね。寺田さんが絵を見る際、絵に顔を近づけて横から見て、絵具の状態を注意深く観察されているのが印象的でした。

肉体と向き合っていくこと

そして、私が聞いていて最も印象的だったのは、生賴さんの終盤の作品。オーライさんが説明されていたのですが、戦国自衛隊の絵などは体力的な衰えを感じるそうで。70歳を越えると絵が衰える人は多くおり、寺田さんもそういう絵を観ると居たたまれなくなるとのことでした。

芸術分野って、高齢になっても一流の作品を生み出せるものだと私は思っていたので、目から鱗が落ちた気分です。寺田さんには120歳くらいまで生きていただいて、死ぬほどたくさん絵を描いていただきたいのですが…。(期待してます)

7年がかりの大作「破壊される人間」

生賴範義ギャラリートーク2

今回の展覧会で最も大きい作品がこちら「破壊される人間」

これは1983年の作ですが、7年がかりで仕上げたそうな。生賴さん自ら地元の資料館に寄贈されたのですが、寺田さん曰く「まだ絵が完成していない感じがする」とのこと。そういう審美眼的なもの、観る力を私も養いたいなぁと、この絵の前にじっと座って考えていました。

こんな写真じゃこの絵の凄みは伝わらないので、この記事を読んでいる読者の方には、ぜひとも生で観ていただきたい。きっと美術館を後にして「これはヤバいものを見た」と、言わずにはいられないことでしょう。

絵を描かない人でも、生賴さんの仕事への情熱のほんの一部に触れるだけで、何かを感じられるかと思います。生賴範義展を見に行きましょう。会期は2月4日まで。

Commentsこの記事についたコメント

2件のコメント
  • WO8TimeSpace175ZERO2@hexagonminer

    グーニーズとかゴジラVSシリーズとか図書館でみた伝記物の絵とか
    私も生賴範義という名を知らずして、生賴範義画伯の絵を空気のように子供の頃に触れていました。
    1994年ごろのある日、私は時代にそぐわず、幻魔大戦にハマってしまい、
    続編を読みたくて古本屋巡りをしまくり、結局、平井和正に失望するという青春時代を過ごしました。
    ただ私はその中で生頼範義という名前を明確に認識するようになりました。
    平井和正の角川版幻魔大戦は途中で段々面白くなくなるのですが、
    生頼画伯の描くカバーイラストの圧倒的な印象と
    文庫カバーの袖のあらすじを読むと
    やっぱり面白いのではないかと思ってジャケ買いしてしまうのです。
    平井和正はもはや忘れられた作家になってしまい、
    発行部数2000万部を記録した幻魔大戦の読者たちはどこに行ったのかと疑問に思っていましたが、
    上野の生賴範義展に行ってみて納得しました。
    ここにきている人たちが1980年代のサイオニクス戦士たちだったのです。

    ちなみに幻魔大戦には続きがあって、幻魔大戦Rebirthという作品が小学館のサンデーうぇぶりで月イチ連載中です。
    https://www.sunday-webry.com/series/748

    2018年1月19日 12:23 AM
  • terakatsulog

    どうも、コメントありがとうございます。このブログの管理人です。
    ブログをしばらく開けておらず、折角頂いたコメントの反映承認をお待たせしてしまいました…!申し訳ありません。

    上野の展示では来場している皆さん、食い入るように絵を見ておられたのが印象的でした。子供の頃に慣れ親しんだ作品があったんだろうなぁと想像しています。
    私は生頼さんが関わっている作品の中で、リアルタイムで実際に触れたものはゴジラファイナルウォーズのポスターくらいなもので、そのような「世代」が羨ましいなぁと思います。

    小学館のサンデーうぇぶり、いいですよね。私もアプリを入れて毎日読んでますが、幻魔大戦が載っていたのは気付かなかったです…(自分の目が節穴でびっくり)
    私としては寺田克也さんがカバーイラストを描いた「幻魔大戦」から入っているので(発行当時に読んだのではなく、あとになって蒐集した)、石ノ森章太郎さんのタッチで描かれる「幻魔大戦」は、なんだかとても意外に感じました。
    世代が違うと入り口が違って、入り口が違うと作品の印象もガラッと変わってしまう…。昔の作品を収集していて、苦戦するところだったりします。

    2018年1月31日 11:12 PM

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