2014年開催の3バチ展「PUSSYCAT!KILL!KILL!KILL!」@銀座・ヴァニラ画廊

2018年9月11日より空山基さん、Rockin’ Jelly Beanさん、寺田克也さんの第2回目となる三人展「Tokyo Sweet Gwendoline」が開かれます。

早く展示を観たい!という気持ちを抑えつつ、前回2014年に開催された3バチ展「PUSSYCAT! KILL! KILL! KILL!」について復習してみようと思います。この記事を読めば、今回の展示を更に楽しめる!かも?

 

「Tokyo Sweet Gwendoline」~3バチ展Vol.2~(2018年)

こちらはまだ会期前なので、実際の展示を観てから記事にしようと思ってます。記事を上げるのは少し遅くなるかも。

「Tokyo Sweet Gwendoline」~3バチ展Vol.2~空山基、Rockin’Jelly Bean、寺田克也
2018年9月11日(火)~9月30日(日)
ヴァニラ画廊 展示室AB(〒104-0061 東京都中央区銀座八丁目10番7号 東成ビル地下2F)
入場料500円(18歳未満はご入場いただけません。)
公式サイト

 

因みに、タイトルになっている“Sweet Gwendoline”は、1950年頃にアメリカで活躍した作家ジョン・ウィリーによるコミックシリーズ。ボンデージ(ボンテージ)衣装や緊縛をモチーフにした作品が展示されていたら、この「グウェンドリン」シリーズへのオマージュかな?と思って鑑賞してもよさそうです。

Amazonで買えそうな原作は『The Adventures of Sweet Gwendoline: Cartoons』ですが、洋書なので読める方限られそうです。日本語訳で読みやすいのがあれば読んでみたいですね。

 

「PUSSYCAT! KILL! KILL! KILL!」~3バチ展~(2014年)

画集『PUSSYCAT! KILL! KILL! KILL! 』の表紙

会期 2014年3月31日(月)~4月12日(土)
会場 ヴァニラ画廊
参加アーティスト 空山基、Rockin’Jelly Bean、寺田克也
公式サイト

 

こちらが初回の三人展、通称「3バチ展」(3罰展)。(上図は画集の表紙)

会期中の4月6日にトークイベントがあったのですが、その内容を収録した非売品の冊子がありまして、今回の記事はそれを読みつつ思い出したことをつらつら書く感じにしようと思います。御三方のサインまで入っていて超貴重な一冊なんですが、いやもう本当にいつ発行されたものでいつのイベントでサインされたのかさっぱり思い出せず…自分の記憶力の無さに絶望しています。

PREMIUM EDITION PUSSYCAT! KILL! KILL! KILL! オレのエロ。ぐだぐだ生トーク。50,000字超。

PREMIUM EDITION PUSSYCAT! KILL! KILL! KILL! オレのエロ。ぐだぐだ生トーク。50,000字超。

 

展覧会タイトルについて

元々「3バチ展」というタイトルになるはずだった本展。その由来は、昔のアメリカのコメディ番組「三ばか大将」から。それだと若い世代には分からないから、ということで1965年に公開されたラス・メイヤー監督の映画「ファスター・プシィキャット!キル!キル!」をタイトルに引用したそうです。

私も実物は観てないので分かりませんが、巨乳のセクシーな姉ちゃん三人組が暴れる映画らしく、wikipediaによれば「これは有名なカルト映画となり、大衆文化の中で広く言及された。」そうです。その界隈では伝説、みたいなやつですかね。

御三方の展示作品に、この映画のオマージュが散りばめられている…かどうかは分かりません。ぱっと見、気にしてなさそうな感じ。

 

展覧会を開催するに至った経緯

事の発端は3バチ展から遡ること数年。空山さん、寺田さん、RJBさんの3人で歌舞伎町のロボットレストランに行ったことらしく。続いて台湾料理屋に入って話しているうち、空山さんの発案で「せっかくエロに長けた3人がいるんだから、そのテーマでなんかやろうよ」と、開催が決まったそうです。

歌舞伎町のロボットレストランで空山さん、寺田さん、RJBさんの3ショット

歌舞伎町のロボットレストランで空山さん、寺田さん、RJBさんの3ショット

※画像はRockin’Jelly Bean Art Graphicsより引用

 

寺田克也さんの展示作品

元々、成人向け雑誌等でエロティックなイラストの仕事もやっていた寺田克也さん。テーマに沿った過去作はいくつもあったと思うのですが、新作が多く出品されていました。この時、寺田さんにしては珍しくモデルを使った絵も一点出していたとのこと。普段は頭の中にあるモチーフを組み合わせて絵を描くことが多いと発言されているので、地味にレアな一枚かもしれません。

そして同時期に漫画家の峰なゆかさんがこんなツイートをしていました。

 

それがどの絵かは公式発表されてないと思うので、敢えてここでは秘密。後述しますが、この3バチ展に合わせて発売された画集『PUSSYCAT! KILL! KILL! KILL!』を見ながら探してはみてはいかがでしょうか。

ところで、寺田さんと峰さんがお互いを描いた絵が他にあるので、ついでにご紹介します。

『週刊SPA!』2014年7月15日号

『週刊SPA!』2014年7月15日号より

こちらは『週刊SPA!』の「アラサーちゃん」特集記事にて、寺田克也さんのコメント部分です。webでも記事が公開されていますね

そして峰さんが寺田さんを描いた(っぽい)絵が『アラサーちゃん無修正』1巻に載ってました。これ寺田さんですよね!?

『アラサーちゃん無修正』1巻の一コマ

『アラサーちゃん無修正』1巻の一コマ

 

 

空山基さんについて

3名の中で、締め切りをきっちり守って作品を納入した空山基さん(他の2名は納期交渉されたそうな)。この時、寺田さんやRJBさんの絵を見て、直前に絵のセレクトを変更したり、絵を一部描き足したりしていたそうな。作家としてのプライドというか負けん気というか、胡坐をかかない姿勢がやはりプロなんでしょうね。

1947年生まれの空山さんは3名の中で最年長。セクシーロボットが特に有名で、例えばエアロスミスのアルバム「Just Push Play」のジャケットや、最近では2015年発売の上坂すみれさんによるシングル「Inner Urge」のジャケットにも採用されています。また、ソニーのペットロボット・AIBOのデザインをしたことが有名ですが、責め絵って言うんでしょうか、SMジャンルの絵も多数描いておられます。

リアリスティックな表現力は「エアブラシ界のゴッドファーザー」とまで呼ばれ、世界から尊敬されているそう。実際には、エアブラシは作品の要所で使っているのみで、基本は筆で作画しているようです。作風や考え方については、2018年のインタビュー記事2016年のインタビュー記事がよくまとまっていたのでご紹介します。

因みにピンナップガール的なイラストを多数描いていたはずの空山さんですが、アルベルト・ヴァーガス(バルガス)のようなピンナップアーティストの系譜ではなく、違うことをやろうとしているのが自分だ、とのこと。

 

画集『空山基 作品集 セクシーロボット・ギガンテス』

画集は沢山出ていますが、2015年に出た作品集が値段も安めで、入門書には良さそうです。※ただし、この画集はセクシーロボット中心っぽい

私が持ってるのは『Relativision―空山基実寸大作品集』だけなんですが、これはコマーシャルワークも含む、生身の女性イラストが盛り沢山で、買って損はないです(ただ、Amazonだとプレミア価格になってますね…高すぎる)。

 

Rockin’ Jelly Bean(ロッキンジェリービーン)さんについて

年齢不詳、覆面をかぶった男性イラストレーターです。本人がバンド活動をしていたステージネームがそのままペンネームになったそうで、趣味としての音楽活動と、イラストレーターの仕事の世界観が密接に関わっているそうな。国内で有名な仕事としては、フジロックのオフィシャルTシャツを毎年デザインされているので、音楽ファンなら見たことがあるのでは。ヱヴァンゲリヲン新劇場版の公開時にもコラボしていたり、モード学園のCMも有名ですね。

原宿でEROSTIKAというショップ・ブランドをプロデュースしているという側面も。ここの商品めちゃカッコイイです。

RJBさんの絵は、なんといってもセクシーな女の子がインパクト大!ですが、10代のときに見た空山基さんの画集『ピンナップ』に衝撃を受けたのが、女の子を描くきっかけになったそうな。仕事や絵に対するお話は、ワコム社のインタビュー記事がよくまとまっていましたのでご紹介。

その他、ロバート・ウィリアムズロバート・クラムの絵に影響を受けているそうです。

 

画集『The Birth of Rockin’Jelly Bean』

現時点で発行されている画集はこちらの一冊だけ。「The Birth of」とある通り、クリエイター活動を始めてからの初期の作品中心にまとまっているようです。大型本で収録数も多いのでボリュームは充分で、RJBさんの生涯や作風について深く知りたい人は大満足かと。ただし、単に表紙のようなセクシーなお姉さんを沢山見たいだけなら、空山さん寺田さんと一緒に出した画集『PUSSYCAT! KILL! KILL! KILL!』を購入した方がよいです。

 

因みに、こちらの画集の包装ビニールに寺田克也さんからの推薦イラストの入ったシールがついてます。(私の保存状態が悪くてちょっとシワ寄ってました…スミマセン。)

画集『The Birth of Rockin' Jelly Bean』付属シール

画集『The Birth of Rockin’ Jelly Bean』付属シール

 

画集『PUSSYCAT! KILL! KILL! KILL!』

この「3バチ展」開催に合わせて作られた画集です。展示作品は全てこの画集に網羅されているのでは?

過激な絵もありますが、何故かエロティックというよりも、芸術品を見ている気持ちになるのが不思議です。勿論、エロティックな気分にもなります。

 

この画集と一緒にTシャツも売られていました。例によって、勿体なくて着れないパターンです。今回の展示でも、この手のグッズが出るかもしれませんね。前回は、Tシャツ付画集を予約注文すると、3名のサイン入り画集が手に入ったようです。(私の画集もサイン入ってるの、それか~!思い出しました。@nemuridinoさん、情報提供ありがとうございました!)

画集『PUSSYCAT! KILL! KILL! KILL! 』付録Tシャツ

画集『PUSSYCAT! KILL! KILL! KILL! 』付録Tシャツ

 

女性を描くにあたって譲れない「こだわり」

会期中のトークイベントで御三方に投げられた質問が「女性を描くにあたって、ここは譲れないっていうご自身のこだわりっていうところをお聞きしたいです」というもの。これを知っているといないとで、絵の印象も変わってくると思うので、ちょっとご紹介。

 

RJBさん「顔」

8割以上は「顔」とのこと。次はお尻、脚。鑑賞者が「この子はどういう子かな」と想像してくれるよう、顔にこだわって描いているそうな。そのほか、乳首はぷっくりとしたものをよく描くようですが、それはRJBさん曰く「サービス系」だそうです。福神漬けみたいなポジションらしく、そこに重きはないそうです。確かにRJBさんが描く女の子の顔、めっちゃかわいい。

 

寺田さん「唇と乳首」

前回の展示では「エロ」をテーマにするにあたり、自分の嗜好にできるだけ寄せていこうとしたそうですが、やり切れなかった思いがあるそうな。そんな中でも、乳首は重視されている模様。唇の表情がエロさを出すと考えており、表情のないバストにはあまり意味を感じないそうな。確かに、寺田さんが描く女の子って、唇がぽってりしてる子多いですね。

 

空山さん「質感」

空山さんは他の2名に比べもっと作風がリアル。それだけに、パーツやモチーフをどう描くかよりも、絵のコンセプトをより強調するための「質感」に重きを置くそうです。(例えば、使い込んでいる部位はメラニン色素が溜まっているように描く、など)コミュニケーションの方法論として、そこにはすごく拘っているとのことです。なるほど…!

 

その他、トークイベントではためになる話からためにならない話まで、たっぷり話しておられたんですが、ここで筆を置こうと思います。今年の展示では、9月22日にトークイベントが予定されています。既に予約は締め切られていますが、ここでも面白い話がたくさん聞けそうです。

早く展示観たいなぁ。

 

2018/9/23追記

「Tokyo Sweet Gwendoline」の展示、観てきました。