『石ノ森章太郎クロニクル魂』ヒーローを生んだ男の生誕80周年記念本

石ノ森章太郎クロニクル魂の表紙

寺田克也さんへのインタビューが掲載されている『石ノ森章太郎クロニクル 魂 仮面ライダー キカイダー サイボーグ009 and more. 』を読んだ感想を、つらつら書いてみようと思います。特に文章としてまとめるつもりがないので、ご注意ください。

今回は寺田克也さんの話題少なめ。前提として、石ノ森章太郎さんについて私はほぼ知識ゼロということ、ご承知おきください。※以下の文章で事実と違う部分があったら優しくご指摘いただけると嬉しいです。

 

書籍概要

生誕80周年となる、石ノ森章太郎さんの画業をまとめた単行本です。仮面ライダーキカイダーサイボーグ009などの代表作について、原画やデザインラフの掲載と、各作品のストーリーを紹介。

怪人デザインやフィギュア造形に関わっておられる竹谷隆之さん、怪人デザインを務めた寺田克也さん、『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』を連載中の柴田ヨクサルさんなどへのインタビューも掲載されています。

このインタビューが非常によく、石ノ森章太郎さんの作家性や後世への作風的影響などが分かりやすくまとまっています。

 

目次

【Contents】
巻頭コメント:松本零士
同年同月同日生まれの松本氏が、石ノ森氏への思いを語る。

[Part1]石ノ森章太郎が生んだ特撮ヒーロー
・特撮ブームを牽引した石ノ森ヒーローたち
特撮ヒーローを写真で振り返る
・石ノ森ヒーロー デザイン&スケッチ画コレクション
・インタビュー 鈴木武幸(東映株式会社顧問)
・石ノ森章太郎の魂を伝え継ぐ作品! ! PART1 Blu-ray&DVDコレクション

[Part2]石ノ森章太郎が描いた仮面ライダー
イラストレーション&マンガ生原稿、作品解説、ストーリーダイジェスト などを紹介!
・仮面ライダー/仮面ライダーBlack/仮面ライダーアマゾン

・石ノ森章太郎の激レア作品! 仮面ライダー絵コンテ漫画
・石ノ森章太郎の魂を伝え継ぐ作品! ! PART2 フィギュアコレクション
「仮面ライダー1号」から「仮面ライダーアマゾンアルファ」まで
・インタビュー 竹谷隆之(造形作家)

[Part3]石ノ森章太郎が描いたヒーローたち
イラストレーション&マンガ生原稿、作品解説、ストーリーダイジェストなどを紹介!
・人造人間キカイダー/イナズマン/ロボット刑事/変身忍者 嵐/秘密戦隊ゴレンジャー/がんばれロボコン
・インタビュー 柴田ヨクサル(マンガ家)
・インタビュー 寺田克也(イラストレーター/キャラクターデザイナー)
・石ノ森章太郎の魂を伝え継ぐ作品! ! PART3 コミックスコレクション

[Part4]石ノ森章太郎が描いたサイボーグ009
・サイボーグ009
イラストレーション扉絵&マンガ生原稿/作品解説/ストーリーダイジェスト
・サイボーグ009×アニメーション
●CYBORG009 CALL OF JUSTICE(2016)
●009 RE:CYBORG(2012)
●サイボーグ009 THE CYBORG SOLDIER(2001~2002)
●サイボーグ009(1979~1980)
・サイボーグ009を映像で観る! ! Blu-ray&DVDコレクション
・石ノ森アニメBlu-ray&DVDコレクション
・インタビュー 斎藤将嗣(キャラクターデザイナー)
・インタビュー 早瀬マサト(石森プロ)
・石森プロ社長 書面インタビュー 小野寺章
・石ノ森章太郎マンガ全作品年表

 

寺田克也さんへのインタビュー

インタビュー記事は3ページにわたって文字ぎっしり。質・量ともに文句なしの内容かなと思います。ここでは一部だけ内容を抜粋してご紹介。

寺田克也さんが石ノ森章太郎さんを知ったのはおそらくテレビとのこと。漫画はどれも単なる勧善懲悪ではなく、暗い影が落ちているのが石ノ森さんの作風として影響を受けたそうな。石ノ森さんが描いた『マンガ家入門』は当時の漫画家志望者みんなが読んでおり、寺田さんも何度も読み返したそうです。

寺田さんが特撮の仕事にかかわったのは、阿佐ヶ谷美術専門学校時代の先輩である雨宮慶太さんの仕事を手伝うようになったことがきっかけ。雨宮さんは仮面ライダー少年隊員番号2番というものすごいライダーファンで、そこに大変影響を受けたそうです。また同じく阿佐ヶ谷美術専門学校の先輩である桂正和さんも、大のヒーローマニア。このお二人と近い場所にいたことが、寺田さんがクリーチャーデザインとして参画する重要なポイントだったようです。

他にもデザインに関する考え方など印象的な話が盛りだくさんですが、詳細はぜひ現物をご確認ください。

 

石ノ森章太郎さんについて

ヒーローを生んだ男

手塚治虫さんが「漫画の神様」なら、石ノ森章太郎さんは「漫画の王様」描いた漫画の枚数が世界一多い漫画家仮面ライダー戦隊ヒーローなどの数々の「ヒーロー」を生み出した原作者。というのが、私の認識です。

これって、めちゃくちゃ凄いことですよね。私は石ノ森章太郎さんの漫画実物を読んだことはないんですが、石ノ森さんが作ったヒーロー像は幼い頃から特撮番組で観てますし、「石ノ森章太郎」という名前を知ってる訳ですよ。

ところで「ヒーロー」って外来語なだけあって、原義的なところではアメコミ的なマッチョなヒーロー像が元祖なんじゃないかなと思うんです。でも、多分日本人にとってのヒーロー像ってそれとは少し違って、仮面ライダーや戦隊ヒーロー的なものがイメージされやすいんじゃないかなと。今はアメコミブームなので、また状況は変わってるのかもしれませんが、日本的「ヒーロー」像はきっと石ノ森章太郎さんが築き上げたんだろうなぁ。

因みに同世代の漫画家というと手塚治虫さん赤塚不二夫さん藤子不二雄(F、A)さんの漫画は多少読んだことがありますが、石ノ森さんの漫画は読んだことがない。同じトキワ荘の漫画家でも、意外と自分には縁がなかったのかな…と思ってwikipediaを見て驚きました。

 

永井豪の師匠

というのも、石ノ森さんのアシスタントとして永井豪さんの名前があるじゃないですか。なんでも、石ノ森さんが、SF的で陰りのある作風に「(自分と)同じ感性の中でものを探している」と感じたそうで。石ノ森さんから永井さんに声をかけ、仕事を手伝わせたようです。

永井さんといえばマジンガーZやキューティーハニー、ハレンチ学園など代表作は色々ありますが、私的には何といってもデビルマンが心に強烈なインパクトを残した漫画な訳ですよ。

永井さんの漫画はスカートめくりを社会現象化させPTAから叱られたとか、エロティックだったりバイオレンスだったりと過激な表現を少年漫画に持ち込んだ人だとして有名です。

永井さんのそうした作風が、石ノ森さんのアシスタント経験と無関係だとは言い切れませんよね。(まぁ石ノ森さんの直系の作風だとも言い切れませんが、)自分が読んだことのない漫画表現が、ちゃんと自分が手に取った作品の中に息づいているんだなと思い、ちょっと感動してしまいました。

そして、永井さんの漫画を読んだ少年が大人になり、漫画を描き、その漫画を私が読んでいた、という構図もある訳で。

多分、それだけじゃない山ほどの「発明」が現在の漫画に受け継がれているんだろうなと思います。漫画の王様、スゲー。

 

私と石ノ森章太郎作品

因みに私は1991年生まれで、仮面ライダーは「クウガ」から、戦隊ヒーローは記憶にある限り「カクレンジャー」辺りから入ってます。そういえば「ロボコン」は観てました。(参考までにウルトラマンは「ティガ」世代)

クウガなんかは元祖仮面ライダーの流れをオマージュしているようですね (クモ男、コウモリ男が出てくる流れとか一緒みたいですね)。本書を読んでいて知りました。

ブラックジャックやバカボン、ドラえもんなどは原作にも触れてますが、初代仮面ライダーやゴレンジャー、サイボーグ009の原作を読んだことがない。本書にはあらすじや原画の写真も載っていますが、一度原作を読んでみたいなぁと思ったのでした。

 

そんなこんなで全然まとまってないですが、本書を読みながらぼんやり思ったこと、
でした。

Amazonレビューでも誰かが書いてましたが、初心者にも読みやすく、玄人でも新しい発見のある本になっているんじゃないかなと思います。この手のムック本って、映画やアニメのリメイクが始まるタイミングなどで内容の薄いのがよく出るんですが、本書はちゃんと作られてる感じがしました。オススメです。