寺田克也の「猫とドラゴン」~東京都美術館展示作品(2012年)~

前回の「幻獣神話展Ⅴ」の記事に引き続き、怪獣絵師・開田裕治さんの企画によるグループ展のお話です。

「群雄割拠 猫とドラゴン展」は2012年開催なので、とっくに終わった展覧会なのですが、ここで寺田克也さんが出品した絵が、寺田克也さんの展覧会や画集などで結構重要ポジションにあるなと思っていまして。

折角なので、今回記事に残しておこうと思い、まとめてみることにしました。

 

「群雄割拠 猫とドラゴン展」概要

「猫とドラゴン展」の公式ガイドブックの表紙

■開催期間
2012年10月21日(日)~28日(日)
■会場
東京都美術館 ギャラリーC
〒110-0007 東京都台東区上野公園8-36
■参加作家
開田裕治(イラストレーター/イラスト)
アオガチョウ(イラストレーター/イラスト)
岡健之(造形師/造形作品)
奥田茂喜(造形師/造形作品)
加藤直之(イラストレーター/イラスト)
工藤稜(イラストレーター/イラスト)
CLICK CRACK(ぬいぐるみ作家/ぬいぐるみ)
寒河江智果(日本画家/日本画)
近藤るるる(漫画家/イラスト)
添田一平(デザイナー・イラストレーター/イラスト)
竹内信善(造形作家/造形作品)
武田信之(原型作家/造形作品)
Deino(3DCGイラストレーター/イラスト)
寺田克也(イラストレーター/イラスト)
天神英貴(イラストレーター・デザイナー/イラスト)
とやまみーや(イラストレーター・日本文芸家クラブ理事/イラスト)
永野のりこ(漫画家/イラスト)
西川伸司(漫画家・デザイナー/イラスト)
韮沢靖(クリーチャーデザイナー・デザイナー/イラスト)
パトリック・ギャノン(切り絵作家/切り絵)
濱元隆輔(漫画家・イラストレーター/イラスト)
百武朋(特殊メイク・特殊造型作家・キャラクターデザイナー/造形作品)
藤ちょこ(イラストレーター/イラスト)
前田ヒロユキ(イラストレーター・造形師/イラスト)
松村しのぶ(モデラー・原型師/造形作品)
緑川美帆(イラストレーター/イラスト)
村田らむ(ライター・イラストレーター・漫画家/イラスト)
山脇隆(造形作家/造形作品)
夢路キリコ(イラストレーター・漫画家/イラスト)
打田十紀夫(フィンガースタイル・ギタリスト/音楽)
八尋健生(作曲家・編曲家・不気味社代表/音楽)
http://neko-dora.jp/dora/

 

こちらが、寺田克也さんが参加していたグループ展。2018年8月9日~18日開催の「幻獣神話展」に参加されている作家さんも多いので、こうした作家さん同士のつながりが続いているんだなぁと勝手に思っています。

 

寺田克也さんの絵「雨の日はヒマ」

猫とドラゴン展に寺田克也さんが出品した絵

デジタル着彩 2,060mm×728mm
※画像はフリースタイルのサイトから引用
※フリースタイルのサイトでは「雨の日はタイクツだから猫を描くのよ【Cat and Dragon】」と題されています。

 

悠然と横たわるドラゴン(羽が見えないので、ドラゴンというより龍かも)。その側面に、魚でいうとエラのあたりに女の子が猫のラクガキをしています。女の子のパーカーのフードには、猫耳がついてます。この世界観、エモい。

寺田克也さんの画集『寺田克也ココ10年』でも最初に紹介されている絵がこちらで、以下のようなコメントが掲載されています。

怪獣絵師の開田裕治さん主催のグループ展に誘われて参加しました。猫とドラゴンが描かれていればなんでもいいという企画だったのですが、猫をできるだけ描きたくないという天の邪鬼な気持ちが生まれたので、ぎりぎりまで考えていたところ、子供が龍の体に猫の落書きをしているというアイデアを思いついてほくそ笑んだものです。といっても書いてしまうと、まあこんなもんか、って感じにいつもなりますけど。
『寺田克也ココ10年』(2013年/パイインターナショナル)より引用

 

 

「猫とドラゴン展」展示風景

2012年の「群雄割拠 猫とドラゴン展」での展示風景はこんな感じ。

猫とドラゴン展の寺田克也さんの絵の展示風景

※画像は寺田克也さんのブログ(2012年10月20日記事)から引用

展覧会当時、私はまだ地方の学生だったのですが、多分就職活動か何かで東京に来ていたタイミングで東京都美術館に立ち寄って、生でこれを観ていました。会場に入って、遠くからでも「寺田克也さんの絵だ!」という存在感があったのを覚えています。

向かって左がメインの絵。フォトアクリル仕上げということなので、印刷された紙の上に透明なアクリルが貼られているやつですね。私も同じ加工をされた絵を持っていますが、絵に奥行きが出ているようで、なかなか良いです。写真家がよく作品に使う加工手法らしいんですが、イラストの世界で使われるのは割と少ないとかなんとか。(写真専門ギャラリーの人に昔聞いたんですが、どうなんですかね)

右が紙に描かれた下絵です。上の画像では分かりにくいですが、紙を4枚繋げて描いています。下絵の方には女の子は描かれていません。「群雄割拠 猫とドラゴン展」の公式ガイドブックには一部だけですが、下絵の途中経過の写真も載っています。公式ガイドブックは探してみたのですが、通販はなさそうですね。

 

その後の展覧会での展示の様子

寺田克也 ココ10年展

寺田克也さんによる猫とドラゴンの襖絵

※画像はAmebaニュースから引用

こちらは2013年に京都国際マンガミュージアムで開かれた個展。実際の襖に印刷した絵を貼って展示していたのが特徴的でしたが、この「猫とドラゴン」の絵だけは襖を5枚も繋げて展示されるという力の入れよう。展示の目玉となっていました。

この襖絵が、その後の寺田克也さんの展示によく登場しているのです。

 

寺田克也展~other world~

こちら、寺田克也さんの故郷である岡山県玉野市、たまののミュージアムにて開催された個展です。この個展でも「猫とドラゴン」の襖絵が展示の目玉でした。絵の前に座れるようになっていて、じっくりと座って見ていた記憶があります。東京の展示と違い、比較的空いていたのでゆっくりできて最高でしたよ最高!

展示も良かったですが「ここが寺田克也さんが生まれ育った町…!」という興奮のあまり、駅から降り立ってすぐに五体投地してしまいました。嘘ですけど。

開催概要(コミックナタリーの記事)

 

寺田克也 ペンシル アンド ボールペン スケッチ!

こちらは2015年にギャラリーハウスMAYAで開かれた個展。「猫とドラゴン」の絵が会場の正面の壁に鎮座しており、やはり目玉として展示されていたことが分かります。他の絵と同様に販売されていて、既に誰かの手元に渡っています。原画を購入された方がとても羨ましいです。

 

そのほか、「寺田克也ココ12年展(2016年)」「誉のくまもと展(2017年)」などでも襖絵が展示されていました。

 

寺田克也さんの「猫とドラゴン」を収録している画集

先述した『寺田克也ココ10年』では、絵を実際の和室の襖に当て込んだ(立てかけているだけ)写真も見られます。

 

一番絵が大きく見られるのは『DRAGON GIRL & MONKEY KING』ですね。

 

まとめ

話があっちこっち行って長くなってしまいましたが、まとめ。

要するに、この「猫とドラゴン」の絵が寺田克也さんの代表作と言えるんじゃね?ってことです。クライアントワークではなく、寺田克也さん個人の創作活動として描かれた中では特に。

いや、「バッテラ展」の龍の襖絵や、「寺田器」で描いてた壁画の龍など、作品としてイケてる龍の絵は他にもあるんですけど。「猫とドラゴン展」も少し前なので、最新のアレはまた違うかもしれませんが。何ていうんでしょう、絵の完成度というよりも、これまでの創作活動における存在感から言えば、やっぱりこれが代表作かなぁと。

2012年に描かれた絵について今更記事にするのもなんか変かな、とも思いましたが、そのくらいこの絵は露出が多く、重要に思えたので。あと、個人的に好きな絵でもあります。そんな感じ。