3罰展再び。「Tokyo Sweet Gwendoline」2018年9月11日~30日@銀座・ヴァニラ画廊

TokyoSweetGwendolineの表紙

さて、まだ現場に行けていないのですが、銀座・ヴァニラ画廊にて開催中の「Tokyo Sweet Gwendoline」、通称3バチ展(3罰展)の画集をゲットしたので、速報的に記事を書いてみようと思います。

2018/9/22追記

本日、やっと展示観てきました。この記事はトークイベントの内容をふまえ、初公開時(9月13日)から全面的にリライトしています。

 

「Tokyo Sweet Gwendoline」トーキョー・スウィート・グウェンドリン

参加作家:空山基、Rockin’Jelly Bean、寺田克也
2018年9月11日(火)~9月30日(日)
ヴァニラ画廊 展示室AB(〒104-0061 東京都中央区銀座八丁目10番7号 東成ビル地下2F)
入場料500円(18歳未満はご入場いただけません。)
公式サイト

神をも恐れぬバチアタリ展覧会「Pussycat!kill!kill!kill!」から4年、エロティシズムのフロンティアを探究し続ける3人のマッド・アーティストが、東京発の過激かつ洗練された<エロ>をテーマに再び激しい火花を散らす!
グラマラスかつゴージャスな女性像から、コケティッシュでキュートな女性像まで、ジョン・ウィリーのボンデージ美学と奔放なエロティック表現を注ぎ込んだ『グウェンドリン』シリーズを、バチアタリな三人衆がそれぞれ独自にエンジニアリングし、さらにスケール・アップ!
時代の閉塞感を破壊する突き抜けたフェミニニティを描き続けてきたアーティストが提示する、新エロティック・ヒロイン像を是非お見逃しなく。

 

前回の3バチ展「PUSSYCAT!KILL!KILL!KILL!」については前回の記事を御覧ください。

 

展示内容

3罰展の案内板

当たり前といえば当たり前ですが、全体的に大きな絵が展示されています。空山さんやRockin’Jelly Beanさんが普段どうなのかは存じませんが、特に寺田克也さんの絵は、いつものプリントよりも一回り大きなものが展示されていたような気がします。

ヴァニラ画廊の2つの展示室に所狭しと並んだ美女の絵は、壮観なものでした。

 

展覧会のテーマ

「エロに秀でた3人で何かやろうよ」という空山さんの発案で始まったこの3バチ展、今回は「Tokyo Sweet Gwendoline」ということで、アメリカの作家ジョン・ウィリーのコミックシリーズ「Sweet Gwendoline(スウィート・グウェンドリン)」を題に掲げています。つまり、ざっくりいうと「SM」がテーマという感じですね。

Amazonで買えそうな原作は『The Adventures of Sweet Gwendoline: Cartoons』ですが、内容は私も読んだことがないので、詳しい方がいたら是非教えてください。

 

空山基さんの絵

他のお二人に比べ、キャリアの長い空山基(そらやまはじめ)さん。今回の展示では、過去の絵からテーマに沿ったものを50枚ほど候補としてチョイスし、そこから画廊やエディシオン・トレヴィル(出版社)に展示用の絵をピックアップしてもらったそうです。

空山さん自身もトークショーで突っ込んでいましたが、本展に合わせて発行された画集『Tokyo Sweet Gwendoline』に載ってる絵と、展示されてる絵が全然違う…!会場に行けず画集だけ見ている人にとっては悲しい知らせですね…。(でも、他の機会に発表されてる絵かも?)

今回の展示用に新たに描き下ろした絵は実は無いのですが、過去の絵に”Sweet Gwendoline”へのオマージュとして加筆したものがあります。画集でいうと、最初に載ってる透明人間がボンデージを着ている絵。確かに、背景に緊縛されたグウェンドリンが描かれています。

また、グウェンドリンシリーズでは「ポニーガール」という、馬の恰好をした女性のモチーフが登場するそうで。そのポニーガールへのオマージュとして、過去の絵に加筆して展示されています。(画集にも収録されている、後ろ手を縛られた女性の絵に、尻尾などが描き足されていました。蹄鉄が描いてある絵です)そしてこのポニーガールの絵に、自主規制シールが貼られていました。展示のテーマにも沿っており「今回出した絵の中では最もバチ当たり」と仰っていました。

展示された絵は、数十年前に描かれたものから最近描いたものまで、かなり絵の年代に幅があるそうです。

 

寺田克也さんの絵

ほとんどデジタル絵でしたが、アナログの絵も4点、展示されていました。観た感じ、新作が10点くらい?過去の作品もありますが、カラーリングを変えたり、一部描き直したものも展示されているようです。

ほとんどが額装されているのですが、寺田さんの展示で金縁の額装がしてあるのは結構珍しいかも?額装あり、キャンバスプリントということもあり、いつもの展示とはまた違った厳かな雰囲気がしました

因みに、画集に載っていない、(多分)今回初出の絵も一点ありました。二人の女性と、タコ足、犬、鳥、烏天狗などが描かれたもの。画集に載らなかったのはスケジュールの関係でしょうか?手元でまた見れないのは残念ですが、またどこかで発表されることを祈ってます。

 

気になった絵

色々と見どころはありますが、変わり種としては、段ボール素材の台紙に描かれた大作「OMI観音」でしょうか。

OMI化郎GIBSON(おみけろうぎぶそん)さんというコスプレイヤー(というより特殊コスチュームモデルみたいな言い方の方が個人的にしっくりきます)が、2016年に原宿のSTUDIO ans SPACE IVVAというところで生前追悼展(略してOMIbute展)をやっていまして。

様々なジャンルのアーティスト32名が作品を展示していたのですが、そこに寺田克也さんが出していた絵が、その段ボール素材の大作。今回の3バチ展で販売もされています。

OMIbute展公式Facebookページ

 

余談ですが、寺田克也さんがデザインを手がけたコスチュームを実際に作って、OMI化郎GIBSONさんが着用した写真が過去に雑誌で紹介されたりもしています。OMIさんの写真は寺田さんが描いた女の子が三次元に登場してきたようなものが多くて、相性がいい感じします。一体何者なんだろう…。

OMI化郎GIBSONの写真

寺田克也さんデザインのコスチュームを着たOMI化郎GIBSONさん

『smart特別編集 シルバーアクセ最強読本29』より

 

Rockin’Jelly Beanさんの絵

三名の中では最も若い、Rockin’ Jelly Bean(ロッキンジェリービーン)さん(以下、RJBさん)。絵はカラーのプリントが中心なのですが、鉛筆の原画も一緒に展示してあるのが特徴です。RJBさん曰く、原画ではなくプリントが完成品だそうで、原画の方はほとんどが非売品。絵は手元に置いておきたい派らしいです。

空山さん寺田さんに比べ、一点一点がやや小さめで、値段も手頃なためか、売約済の赤いシールが山ほどついてました。プリント品でエディション販売なので、購入のハードルも低いんですよねえ。

空山さんと同じくRJBさんも、画集にない絵が展示されていたり、画集にあるけど会場にない絵があったりします。これは完全に私見ですが、良い絵ほど画集に載っていない…!!(血の涙)もしくは、画集には載っているけど、着色前だったり…。やはり、絵は生で見るに限るということですか。

 

トークイベント

9月22日の17時半より、御三方によるトークイベントでした。

限定40名の予約制イベントですが、会場が狭めなのでぎゅうぎゅう詰めの状態でスタート。未確認情報ですが、トークの内容はインターネットで配信されるようです。録画を観れるようになるかも?詳しく分かったらまたここに載せますが、よく分かりません。

トークの司会を務めるのは、都築響一(つづき・きょういち)さん。寡聞にして存じ上げませんでしたが、フリーランスの編集者の方で、数々の雑誌に関わっているほか、写真家としての側面もあり、木村伊兵衛写真賞を受賞するなどの実績もあるそうな。あくまで司会ということで、都築さんに関するお話はありませんでしたが、是非、人となりを聞いてみたかったところで残念です。

 

作品のコンセプト

ここからは、トークの内容で気になったところだけ抜粋してご紹介します。

今回のテーマ「バチ当たり」について。トレヴィル(出版社)の提案で「Sweet Gwendoline」を題材にすることに決まったそうな。

三名とも、自分がバチ当たりだとは思っていないそうで、特に過激な絵を描いている空山さんも「前例のないことをやろうとすると、タブー破りになるだけ」と仰っていました。計算の上で、絵を買う人が喜ぶようなものを描いているに過ぎず、自分の中にある嗜好では全くないそうです。また今回は、前回の展示を踏まえて寺田さん・RJBさんが作風を過激にしてくるだろうと予測し、あえて(表現が)抑え目の絵をチョイスしたとのこと。トークではおふざけの発言も多かった空山さんですが、仕事に関しては一切油断がない姿勢が見えますね。プロフェッショナルだ…。

寺田克也さんも、SM嗜好は特になし。機械とミックスした、体がバラバラになる女性の絵を描いていますが、「痛みを与える」意図ではなく「身動きをとれなくする≒拘束」というニュアンスが込められているそうです。パーツがバラバラになってもかわいいというのは、アトムの影響も入っているそうな。

RJBさんは、女の子の股間から流れる滝に当たる絵が一番バチ当たりだと思う、と自己申告されていました。なので、画集のプロフィール写真でも滝行をしているそうです。そこまでやるか!

 

美女を描くということ

色々話している中で興味深かったのが、空山さんの発言。昔に比べ、ヒスパニック系の顔立ちの絵がよく売れるそうです。海外の顧客層が変わってきており、アジア層の顧客が増えているとのこと。因みに、空山さんが(昔に)絵の参考にしたモデルはグロリア・スワンソン新珠三千代(あらたま・みちよ)らしいです。

顔へのこだわりといえば、RJBさんも前回のトークイベントでは「顔に最もこだわっている」と仰っていましたが、今回の絵も、仕上がりに納得しきれていないものもあるそうで。既にめちゃかわいいのに、まだかわいくするのか…!?

 

好きな体のパーツ

これは、来場者の質問から。寺田さんは、。線だけで描こうとすると、なかなか難しいとのことです。空山さんは、乳房。RJBさんは、パンツ(ナイロン製)。体の部位じゃない!という突っ込みもありましたが、まぁいいじゃないか、という空気感に包まれていたのが今回のトークイベントです。

 

私はトークイベント終了後すぐ会場を出たので立ち会えませんでしたが、画集購入者向けにサイン会もやっていたようですよ。

 

画集『Tokyo Sweet Gwendoline』

前回の3バチ展同様、展示内容をまとめた画集も販売されています。

前回の画集と違うのは、展示のコンセプトであるジョン・ウィリーの『Sweet Gwendoline』シリーズに関する編集部の解説が巻末についていること。4ページ分、細かく解説されています。かなりマニアックな内容なので、これを読めば責め絵やSMについて知ったかぶれるかも。

会場限定かと思いますが、Tシャツ(画集の表紙の絵がプリントされてます)とセットの画集を買うと割安。3名のサイン本が販売されていますが、会期終了まで残ってるかわからないので、会場に行ける方は早めに確保することをお勧めします。

因みにSNSで色んな人がサイン本をUPしてるんですが、ものによってサインの形状が違うみたいです。特にRJBさんのサインが複数パターンあるし、中には空山さんのサインが抜けてる本もあるとか…?(2018/10/9追記:抜けているというのは見間違いで、黄色のページの向かいのページに空山さんがサインした本があるということでした。誤った情報を載せてしまい、すみませんでした)自分の好みのものを探してみるのもアリかも。

TokyoSweetGwendolineのサイン

画集『Tokyo Sweet Gwendoline』のサイン本

 

↑こんなに画集あったらサインも追い付かなくなりますな。

 

画集の絵がプリントされたTシャツ以外に、寺田さんの絵をプリントしたTシャツも会場で販売中です。

 

今回の記事は以上です。

会期は9月30日までなので、未見の方はお早めに!遠方の方は、画集がオススメです。

 

前回の展示「PUSSYCAT!KILL!KILL!KILL!」の記事はこちら。

 

2018/9/30追記

寺田克也さんの展示スペースの様子。(もう一部屋ありますが)

左下の赤色の絵が、おそらく画集未収録のやつです。

あっ!というまに展示期間は風のように駆け抜けて、銀座ヴァニラ画廊での空山基ロッキンジェリービーンとの3人展も明日30日(12時〜17時)で終了です。台風と共に去っていきますよ。御来展頂いたりお気遣い頂いたみなさまには感謝しかないです。…

Terada Katsuyaさんの投稿 2018年9月29日土曜日